top of page

藤村 豪 個展『誰かの主題歌を歌うときに』

藤村 豪 × 深川 雅文 往復書簡パフォーマンス

08.jpeg

藤村豪(アーティスト)と深川雅文(キュレーター/クリティック)が行う、往復書簡パフォーマンスをご覧頂けます。

藤村豪個展『誰かの主題歌を歌うときに』に際し、会期直前から会期終了までの6週間に渡り、ギャラリーがフィルターとして介在しながら、二人の間で行われる文通は、「日本語→ポルトガル語→日本語」と2度の自動翻訳を経て、内容に一部ズレが生じた状態でお互いにやりとりが行われます。

※2020年7月3日(金)をもちまして、本パフォーマンスは完結いたしました。

-----------------

*両者からの手紙はギャラリーにEメールで送られ、翻訳済の文章のみが相手に転送されます。

(深川氏の論考タイトル「デサフィナード(調子はずれ)」がポルトガル語であることにちなみ、言語選択が行われました)

0702-1_1
0702-1_2

原文 

赤:藤村の手紙 

青:深川の手紙

翻訳文 

ピンク:藤村の手紙(を、自動翻訳したもの) 

水 色:深川の手紙(を、自動翻訳したもの)

05.30  |  06.05  |  06.11  |  06.13  |  06.18

06.20  |  06.29  |  07.02 [1]  |  07.02 [2]  |  07.03

藤村豪の行う往復書簡

深川雅文の行う往復書簡

Jul 2, 2020

藤村

 

おはようございます、梅雨の日になります。窓の外では鳥のさえずりが聞こえます。私もシーズン外につぶやいています。鳥のさえずりから人間の言葉の誕生をたどった研究者(岡野谷一夫)を思い出しました。

 

リチャード・ブロティガン、アンドレイ・タルコフスキー、庄野順三...藤村の手紙に登場する小説家で映画監督の名前は、彼の心に散りばめられた言葉の宇宙を暗示している。藤村さんの作品のルーツは、いつも言葉の海がなめらかに流れるのを感じます。

 

展覧会は終了しました。 「美術史と批判的継承への言及の欠如」、「政治や革命に関心のない親切な態度」。展覧会を訪れたお年寄りのアーティストの言葉をどう受け止めればいいのでしょうか。気にしませんでした。作品の影響で言葉が出るようにして、ポジティブな反応とネガティブな反応を見るのが面白かったです。その人は伝統的な歴史観と時間感を持っていると思います。グーテンベルク銀河が変形した時点で、それは私たちにとってノスタルジックで貴重な確認となります。私たちはハイパーテキストの世界にいます。テッド・ネルソン!

 

ちなみに、この返送システムから抜け出すのはいいことではないでしょうか。ただし、この自動AI変換を完全に回避することはできません。このパフォーマンスを通信で行うとき、「コンピュータ」の概念を生み出したアラン・チューリングの「チューリングテスト」を思い出しました。インテリジェンスの機械化の可能性を研究しながら、彼は機械が人間であるかどうかを決定するためのテストを開発しました。この手紙に現れたり消えたりする奇妙で乱れた言葉は、書いているはずの深川と藤村が本当の人間ではないという微妙な疑いを引き起こすことができますか?なぜ

 

特異点はいつ現れましたか?返信用のプレゼンテーションを作成することになると、それは役に立たない場合があります。この時点で、完全な文字で通信する必要があります!しかし、完璧なコミュニケーションとは何でしょうか?人とのコミュニケーションとは?藤村さんの作品はいくつかのアイデアにつながります。彼が行く


 

深川

Jul 2, 2020

藤村さん

 

おはようございます。梅雨の晴れ間の1日となりそうです。窓の外から、鳥たちの声が聞こえています。季節外れのウグイスもさえずっています。小鳥のさえずりから人の言葉の誕生を辿った研究者(岡ノ谷一夫)のことを思い出しました。

 

リチャード・ブローティガン、アンドレイ・タルコフスキー、庄野潤三…藤村さんの手紙に出てきた小説家、映画監督の名前は藤村さんの心の中に広がる言葉の宇宙を暗示しています。藤村さんの作品の根底には滔々と流れる言葉の海をいつも感じています。

 

展覧会はいつのまにか会期終盤となりましたね。「美術史や批判的継承への言及を欠いている」、「政治や革命に関心のない親切な態度」。展覧会を訪れた年配のアーティストさんが発したこれらの言葉をどう受け止めるべきなのでしょうか?僕は、気にすることはないと思いました。その言葉を出させたというのは、作品の働きかけがあったからであり、ボジティブであれネガティブであれ反応が見られたということは面白いなと思いました。その言葉から想像するにその方がお持ちの伝統的な歴史観、時間感覚がおありかなと感じました。グーテンベルクの銀河をワープした地点にいる僕らには、それは懐かしくも貴重な確認事項なのかもしれません。ハイパーテクストの宇宙に僕らはいます。テッド・ネルソン!

 

ところで、この往復書簡のシステムの外に少し出てしまってもいいでしょうか?といっても、このAI自動翻訳から完璧に逃れることは趣旨からしてできないのですが。この文通パフォーマンスを行う中で、僕は、”コンピュータ”の概念を創造したアラン・チューリングの「チューリング・テスト」を思い出しました。彼は、知能の機械化の可能性を研究するなかで、ある機械が人間的か否かを判定するテストを考案しました。この書簡の中で見え隠れするぎこちない、調子の外れた言葉たちは、実は、書いているとされる深川も藤村さんも実際の人間ではないのではないか?という微かな疑念を立ち上げるかもしれないからです。

 

シンギュラリティーはいつ来るんでしたっけ?それが到来したら、こうした往復書簡パフォーマンスを行うことは無意味なものとなるかもしれません。その時は、完璧な書簡のコミュニケーションができるはずですから!だけど、完璧なコミュニケーションって何なのでしょうか?  人間的なコミュニケーションとは何なのか?藤村さんの作品は、そのことを巡っていろんなアイデアを導いてくれます。

 

 

深川

0702-1_3
0702-1_4

05.30  |  06.05  |  06.11  |  06.13  |  06.18

  06.20  |  06.29 07.02 [1]  |  07.02 [2]  |  07.03

原文同士のやりとり

※パフォーマンスの副産物として生じた実在しない対話

Jul 2, 2020

藤村さん

 

おはようございます。梅雨の晴れ間の1日となりそうです。窓の外から、鳥たちの声が聞こえています。季節外れのウグイスもさえずっています。小鳥のさえずりから人の言葉の誕生を辿った研究者(岡ノ谷一夫)のことを思い出しました。

 

リチャード・ブローティガン、アンドレイ・タルコフスキー、庄野潤三…藤村さんの手紙に出てきた小説家、映画監督の名前は藤村さんの心の中に広がる言葉の宇宙を暗示しています。藤村さんの作品の根底には滔々と流れる言葉の海をいつも感じています。

 

展覧会はいつのまにか会期終盤となりましたね。「美術史や批判的継承への言及を欠いている」、「政治や革命に関心のない親切な態度」。展覧会を訪れた年配のアーティストさんが発したこれらの言葉をどう受け止めるべきなのでしょうか?僕は、気にすることはないと思いました。その言葉を出させたというのは、作品の働きかけがあったからであり、ボジティブであれネガティブであれ反応が見られたということは面白いなと思いました。その言葉から想像するにその方がお持ちの伝統的な歴史観、時間感覚がおありかなと感じました。グーテンベルクの銀河をワープした地点にいる僕らには、それは懐かしくも貴重な確認事項なのかもしれません。ハイパーテクストの宇宙に僕らはいます。テッド・ネルソン!

 

ところで、この往復書簡のシステムの外に少し出てしまってもいいでしょうか?といっても、このAI自動翻訳から完璧に逃れることは趣旨からしてできないのですが。この文通パフォーマンスを行う中で、僕は、”コンピュータ”の概念を創造したアラン・チューリングの「チューリング・テスト」を思い出しました。彼は、知能の機械化の可能性を研究するなかで、ある機械が人間的か否かを判定するテストを考案しました。この書簡の中で見え隠れするぎこちない、調子の外れた言葉たちは、実は、書いているとされる深川も藤村さんも実際の人間ではないのではないか?という微かな疑念を立ち上げるかもしれないからです。

 

シンギュラリティーはいつ来るんでしたっけ?それが到来したら、こうした往復書簡パフォーマンスを行うことは無意味なものとなるかもしれません。その時は、完璧な書簡のコミュニケーションができるはずですから!だけど、完璧なコミュニケーションって何なのでしょうか?  人間的なコミュニケーションとは何なのか?藤村さんの作品は、そのことを巡っていろんなアイデアを導いてくれます。

 

 

深川

自動翻訳文のやりとり

※パフォーマンスの副産物として生じた実在しない対話

Jul 2, 2020

藤村

 

おはようございます、梅雨の日になります。窓の外では鳥のさえずりが聞こえます。私もシーズン外につぶやいています。鳥のさえずりから人間の言葉の誕生をたどった研究者(岡野谷一夫)を思い出しました。

 

リチャード・ブロティガン、アンドレイ・タルコフスキー、庄野順三...藤村の手紙に登場する小説家で映画監督の名前は、彼の心に散りばめられた言葉の宇宙を暗示している。藤村さんの作品のルーツは、いつも言葉の海がなめらかに流れるのを感じます。

 

展覧会は終了しました。 「美術史と批判的継承への言及の欠如」、「政治や革命に関心のない親切な態度」。展覧会を訪れたお年寄りのアーティストの言葉をどう受け止めればいいのでしょうか。気にしませんでした。作品の影響で言葉が出るようにして、ポジティブな反応とネガティブな反応を見るのが面白かったです。その人は伝統的な歴史観と時間感を持っていると思います。グーテンベルク銀河が変形した時点で、それは私たちにとってノスタルジックで貴重な確認となります。私たちはハイパーテキストの世界にいます。テッド・ネルソン!

 

ちなみに、この返送システムから抜け出すのはいいことではないでしょうか。ただし、この自動AI変換を完全に回避することはできません。このパフォーマンスを通信で行うとき、「コンピュータ」の概念を生み出したアラン・チューリングの「チューリングテスト」を思い出しました。インテリジェンスの機械化の可能性を研究しながら、彼は機械が人間であるかどうかを決定するためのテストを開発しました。この手紙に現れたり消えたりする奇妙で乱れた言葉は、書いているはずの深川と藤村が本当の人間ではないという微妙な疑いを引き起こすことができますか?なぜ

 

特異点はいつ現れましたか?返信用のプレゼンテーションを作成することになると、それは役に立たない場合があります。この時点で、完全な文字で通信する必要があります!しかし、完璧なコミュニケーションとは何でしょうか?人とのコミュニケーションとは?藤村さんの作品はいくつかのアイデアにつながります。彼が行く


 

深川

bottom of page