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『セルフもっとサテライト 2018初秋』

アーティストトーク

『セルフもっとサテライト』が立ち上がったきっかけ

『セルフもっとサテライト』が立ち上がったきっかけ

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今回の『セルフもっとサテライト』というタイトルにも関わってくるのですが、以前開催した『尊景』展では、4人の作家が4会場で「尊景」というテーマに紐付いてそれぞれ展示をしました。

 

それに対して今回は、清澄白河周辺のエリアの中で、それぞれの作家が各会場でそれぞれの表現を展開しています。『セルフもっとサテライト』って、ちょっとふざけたタイトルなんですが。

 

そもそもそのタイトルについて聞きたいですね。(笑)

「ケンカ売ってるのかな」と思いましたよ。(笑)

 

ごめんなさい!

 

私の勤めている東京都現代美術館で、『MOTサテライト』というのをやっていまして。でも、どこにもその『MOTサテライト』のことは書かれていないという。

 

そうですね。書きませんでした。(笑)

 

でも一応館内的には周知をしておりますので。

 

ありがとうございます!

 

とはいえ自分たちの企画に乗っかって下さっているのは嬉しいです。(笑)

 

今回『セルフもっとサテライト』というタイトルにしたのは、『尊景』展ではあまりにも僕個人のテーマに引っ張りすぎてしまった気がしていたからです。この企画に皆を誘う際に一応テーマのすりあわせとして自分の「尊景」というコンセプトも伝えてはいるのですが、とはいえそれだけだと面白味に欠けてしまうかなと。

 

ちょっとグループ展っぽくなってしまうんですよね。

 

そうですね。テーマが強すぎて面白くないかなと思ったので、もう少しそこのところをゆるくしたいなと。

 

『セルフ尊景』展というのを、2017年に香川でやりましたよね。そのときのお話も聞きたいです。

 

先ほど冨川さんとの話のときにも挙がりましたが、去年香川県やったアーティストインレジデンスで展示をしました。今回の企画にもついている「セルフ」ですが、香川県では「セルフうどん」が多いんですよね。東京であればセルフのガソリンスタンドはよくありますが、香川県では「セルフ」の言葉の幅がすごいなと思って。

 

セルフうどん屋では、どこからセルフなんですか?

 

お店によって全然違うんですけど、自分でザルに麺を取って茹でるまでの全部をやらせるお店もあれば、お盆だけ持って列に並んでいればいいというだけの店もあります。その「セルフ」という言葉の幅が広くて。レジデンスの最終的な成果発表として「セルフ尊景」というタイトルで展示をして、森山くんが今回も展示している冷蔵庫の作品《龍神自動販売機》を展示したり、パフォーマンスなどもやりました。

 

「セルフ」ということは、観客がセルフで見る、ということ? それともアーティストがセルフでやったっていうこと?

 

レジデンスの成果展ってなかなか人が来てくれないんです。見に来る人も現地の人など美術に全然興味のない人もいたりするので、「セルフ」とつけておけば、うどん好きで、「セルフ」の言葉の広がりを持った香川県民の皆さんが展覧会に来てくれるかなと思って、『セルフ尊景』というタイトルにしました。

 

場所が離島だったこともあり部材とかもほとんど何もない中で、全部一から自分たちで用意しました。木材などもないので地元の漁師さんに船を出してもらって買いに行ったりもしました。なので、僕の中で「セルフ」という言葉の重みや幅みたいなものが広くなっていて、それを今回の展覧会でも頭に着けているというのがあります。

 

でも美術館の人間からすると、なんだか「美術館がやってくれないからセルフでやった」みたいな感じなのかなと思っていたのですが、全然そんなことはないんですね。

 

まあ、そういうところも少しはありますね。(笑)

 

あるんですね。(笑)

 

やはり、まだ僕らの作品は美術館の中には入れないので(苦笑)、それならセルフで面白いと思うことを周りでやろうと思って。

 

僕が藝大を出てから丸2年経つのですが、段々と作家仲間も制作活動をやめてしまっていたり、そういうつもりがなくても作っていない人もどんどん増えてきています。僕は周りに比べるとスタートが遅くて藝大には28歳で入ったのですが、藝大に対するすごく大きな憧れを持って入ったのに、せっかく卒業しても就職などをきっかけにあっさりとやめちゃったりする人があまりにも多くて、「藝大って、そんなものなのかな」と思ってしまって。それがやはり自分の中で引っかかっていますね。そんな中で、大学でせっかく専門的なことを学んだので、自信を持って自分たちが起点になって、発信するようなことをしてもいいんじゃないかと思うんですよね。そんな思いもあって「セルフ」とつけています。

 

なるほど。今回藝大出身の作家さんが多いのは、藝大に対するなにかこだわりのようなものがあってのことなのでしょうか?

 

これは本当に個人的なことではあるのですが、藝大に憧れはありつつも長いこと入れなかったので、人一倍藝大に対しての思い入れが大きいのかもしれません。

 

同世代の面白くて良い作家に、きちんと発表の機会があった方がいいというのは強く感じてらっしゃいますよね。卒業するときに、木幡和枝さんにいい言葉をいただいたんですよね?

 

僕らがまだ学部に在学中の時に木幡和枝さんが教授として教えてくださってたんですが、僕らが学部を卒業するタイミングで退任されました。アーティストとして食べていくのはなかなか難しいから、「群れを作れ」と言われたんですよ。

 

「群れ」と聞くとネガティブなイメージがありますが、木幡さんにそのとき言われたその「群れ」はポジティブに仲間を示す意味合いで、「とりあえずバイトで1〜2時間働けば牛丼1杯ぐらい食えるんだから、何とかして続けなさい」って言われたんです。

 

そうなんだ。(笑)

 

なので、「何とか続けたいな」、「自分が起点になって何かをやりたいな」という思いがあって、今回のように面白いと思う人をいっぱい集めようと。

 

じゃあ、小城さんには普段の作品ではない作品をお願いしたというのも、「サテライト」や「周辺」などがテーマとしてバックにあるのでしょうか?

 

そうですね。そういったことも関係しています。

 

今回のステートメントに「面白いことは周辺で起きている」とありますが、「うちの美術館全然中心じゃないし」と思って。(笑)

 

すみません!(笑)

 

そこが意味に含まれているのかはわかりませんが。

 

前回の『MOTサテライト』を回っていて面白かったなと思っていて、「もっと」面白いことを、とつけました。東京都現代美術館の「MOT」ではなく。(笑)

 

『MOTサテライト』のさらにその周辺に、何か面白い作家がいたら面白いな、自分自身も面白いなと思って。自分たちが起点になってどんどんみんなに発信していけたら面白いなと思って今回のプロジェクトを考えました。

 

では、菊地さんの中ではご自分の活動と並行して、こういう場を作るのをやっていきたい、ということですか?

 

そうですね。そういうことを自分が起点になってやっていきたいですし、僕自身も参加アーティストとして「SIDE CORE」*などの企画に呼んでもらったりすることも多いですね。

 

*SIDE CORE:2012年から高須咲恵と松下徹により活動を開始し、都市での表現のあり方を拡張し続けるアーティストたちが、流動的に参加できる場として、展覧会に留まらない活動を展開している。(SIDE COREウェブサイトより抜粋)http://sidecore.net

 

 

小城さん、今の菊地さんのお話を聞いていかがですか?今後も活動一緒にしていこうと思われますか?それとも、「もう面倒臭いな」とか?(笑)

 

面倒臭いことはないですよ。(笑)でも、先のことは考えてなかったですね…。

 

菊地さん世代の作家さん、特に男性作家は割と群れる傾向にあるのかなと思うんですよね。男性と女性では社会性に対する考え方が違うのかなとは思うのですが、SIDE COREには女性もいますが、女性アーティストたちだけでグループを作って活動するのはあまり見たことがありませんよね。カオス*ラウンジとかも男性たちですよね。男性作家のグループがあるのは興味深いと思っていますが、小城さんの世代では、そういう動きや傾向って感じたりしますか?

 

現時点ではっきりとは傾向は見えていませんが、大学を出た後にそういう動きが強まるのかもしれないですね。

 

今回の人選に小城さん、冨川さん、前川さんが入っているのは、作家の偏りがないように、菊地さんの中で少し気をつけられたんですよね。

 

世代的にも、ジェンダーバランス的にも、ということですね。

 

そうですね。あとは作品の系統的にも。

 

小城くんの場合は、最初から僕にもどんな展示になるのかちょっと予測つかないので、引っかき回してもらえたらいいかなと思っていました。(笑)

 

最後までどうなるのかすごく心配してました。(笑)

 

さっきも少し聞きましたが、「これが自分の個性だ」とか、「こういう所に自分は作品の成立する何かを見出しているんだな」とか、そういう気づいたことは今回ありましたか?

 

…。

 

あまり分析しないでやっている?

 

先ほど「気楽」という言葉を使いましたが、気楽であることは結構重要なのではと思っていて、作品を制作するにしても、「美術」という言語の懐の深さを信用するのがいいんじゃないかと感じています。《リハビリ》シリーズでは感覚的に「これは作品として成立している・していない」という境界線を提示していて、それが実は何パターンかあるんじゃないかと。例えば「自立していれば作品感がある」みたいに、「こうなっていれば作品としてOK」みたいなものが複数あるような。

 

卒展とかはどうするか考えてるんですか?

 

卒展のプランはまだなくて、9月に考えようと思っています。

 

もう来週から9月ですが。(笑)

 

来週…来週ですね。(苦笑)

 

…頑張って下さい。(笑)ありがとうございます。

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今回の『セルフもっとサテライト』というタイトルにも関わってくるのですが、以前開催した『尊景』展では、4人の作家が4会場で「尊景」というテーマに紐付いてそれぞれ展示をしました。

 

それに対して今回は、清澄白河周辺のエリアの中で、それぞれの作家が各会場でそれぞれの表現を展開しています。『セルフもっとサテライト』って、ちょっとふざけたタイトルなんですが。

 

そもそもそのタイトルについて聞きたいですね。(笑)

「ケンカ売ってるのかな」と思いましたよ。(笑)

 

ごめんなさい!

 

私の勤めている東京都現代美術館で、『MOTサテライト』というのをやっていまして。でも、どこにもその『MOTサテライト』のことは書かれていないという。

 

そうですね。書きませんでした。(笑)

 

でも一応館内的には周知をしておりますので。

 

ありがとうございます!

 

とはいえ自分たちの企画に乗っかって下さっているのは嬉しいです。(笑)

 

今回『セルフもっとサテライト』というタイトルにしたのは、『尊景』展ではあまりにも僕個人のテーマに引っ張りすぎてしまった気がしていたからです。この企画に皆を誘う際に一応テーマのすりあわせとして自分の「尊景」というコンセプトも伝えてはいるのですが、とはいえそれだけだと面白味に欠けてしまうかなと。

 

ちょっとグループ展っぽくなってしまうんですよね。

 

そうですね。テーマが強すぎて面白くないかなと思ったので、もう少しそこのところをゆるくしたいなと。

 

『セルフ尊景』展というのを、2017年に香川でやりましたよね。そのときのお話も聞きたいです。

 

先ほど冨川さんとの話のときにも挙がりましたが、去年香川県やったアーティストインレジデンスで展示をしました。今回の企画にもついている「セルフ」ですが、香川県では「セルフうどん」が多いんですよね。東京であればセルフのガソリンスタンドはよくありますが、香川県では「セルフ」の言葉の幅がすごいなと思って。

 

セルフうどん屋では、どこからセルフなんですか?

 

お店によって全然違うんですけど、自分でザルに麺を取って茹でるまでの全部をやらせるお店もあれば、お盆だけ持って列に並んでいればいいというだけの店もあります。その「セルフ」という言葉の幅が広くて。レジデンスの最終的な成果発表として「セルフ尊景」というタイトルで展示をして、森山くんが今回も展示している冷蔵庫の作品《龍神自動販売機》を展示したり、パフォーマンスなどもやりました。

 

「セルフ」ということは、観客がセルフで見る、ということ? それともアーティストがセルフでやったっていうこと?

 

レジデンスの成果展ってなかなか人が来てくれないんです。見に来る人も現地の人など美術に全然興味のない人もいたりするので、「セルフ」とつけておけば、うどん好きで、「セルフ」の言葉の広がりを持った香川県民の皆さんが展覧会に来てくれるかなと思って、『セルフ尊景』というタイトルにしました。

 

場所が離島だったこともあり部材とかもほとんど何もない中で、全部一から自分たちで用意しました。木材などもないので地元の漁師さんに船を出してもらって買いに行ったりもしました。なので、僕の中で「セルフ」という言葉の重みや幅みたいなものが広くなっていて、それを今回の展覧会でも頭に着けているというのがあります。

 

でも美術館の人間からすると、なんだか「美術館がやってくれないからセルフでやった」みたいな感じなのかなと思っていたのですが、全然そんなことはないんですね。

 

まあ、そういうところも少しはありますね。(笑)

 

あるんですね。(笑)

 

やはり、まだ僕らの作品は美術館の中には入れないので(苦笑)、それならセルフで面白いと思うことを周りでやろうと思って。

 

僕が藝大を出てから丸2年経つのですが、段々と作家仲間も制作活動をやめてしまっていたり、そういうつもりがなくても作っていない人もどんどん増えてきています。僕は周りに比べるとスタートが遅くて藝大には28歳で入ったのですが、藝大に対するすごく大きな憧れを持って入ったのに、せっかく卒業しても就職などをきっかけにあっさりとやめちゃったりする人があまりにも多くて、「藝大って、そんなものなのかな」と思ってしまって。それがやはり自分の中で引っかかっていますね。そんな中で、大学でせっかく専門的なことを学んだので、自信を持って自分たちが起点になって、発信するようなことをしてもいいんじゃないかと思うんですよね。そんな思いもあって「セルフ」とつけています。

 

なるほど。今回藝大出身の作家さんが多いのは、藝大に対するなにかこだわりのようなものがあってのことなのでしょうか?

 

これは本当に個人的なことではあるのですが、藝大に憧れはありつつも長いこと入れなかったので、人一倍藝大に対しての思い入れが大きいのかもしれません。

 

同世代の面白くて良い作家に、きちんと発表の機会があった方がいいというのは強く感じてらっしゃいますよね。卒業するときに、木幡和枝さんにいい言葉をいただいたんですよね?

 

僕らがまだ学部に在学中の時に木幡和枝さんが教授として教えてくださってたんですが、僕らが学部を卒業するタイミングで退任されました。アーティストとして食べていくのはなかなか難しいから、「群れを作れ」と言われたんですよ。

 

「群れ」と聞くとネガティブなイメージがありますが、木幡さんにそのとき言われたその「群れ」はポジティブに仲間を示す意味合いで、「とりあえずバイトで1〜2時間働けば牛丼1杯ぐらい食えるんだから、何とかして続けなさい」って言われたんです。

 

そうなんだ。(笑)

 

なので、「何とか続けたいな」、「自分が起点になって何かをやりたいな」という思いがあって、今回のように面白いと思う人をいっぱい集めようと。

 

じゃあ、小城さんには普段の作品ではない作品をお願いしたというのも、「サテライト」や「周辺」などがテーマとしてバックにあるのでしょうか?

 

そうですね。そういったことも関係しています。

 

今回のステートメントに「面白いことは周辺で起きている」とありますが、「うちの美術館全然中心じゃないし」と思って。(笑)

 

すみません!(笑)

 

そこが意味に含まれているのかはわかりませんが。

 

前回の『MOTサテライト』を回っていて面白かったなと思っていて、「もっと」面白いことを、とつけました。東京都現代美術館の「MOT」ではなく。(笑)

 

『MOTサテライト』のさらにその周辺に、何か面白い作家がいたら面白いな、自分自身も面白いなと思って。自分たちが起点になってどんどんみんなに発信していけたら面白いなと思って今回のプロジェクトを考えました。

 

では、菊地さんの中ではご自分の活動と並行して、こういう場を作るのをやっていきたい、ということですか?

 

そうですね。そういうことを自分が起点になってやっていきたいですし、僕自身も参加アーティストとして「SIDE CORE」*などの企画に呼んでもらったりすることも多いですね。

 

*SIDE CORE:2012年から高須咲恵と松下徹により活動を開始し、都市での表現のあり方を拡張し続けるアーティストたちが、流動的に参加できる場として、展覧会に留まらない活動を展開している。(SIDE COREウェブサイトより抜粋)http://sidecore.net

 

 

小城さん、今の菊地さんのお話を聞いていかがですか?今後も活動一緒にしていこうと思われますか?それとも、「もう面倒臭いな」とか?(笑)

 

面倒臭いことはないですよ。(笑)でも、先のことは考えてなかったですね…。

 

菊地さん世代の作家さん、特に男性作家は割と群れる傾向にあるのかなと思うんですよね。男性と女性では社会性に対する考え方が違うのかなとは思うのですが、SIDE COREには女性もいますが、女性アーティストたちだけでグループを作って活動するのはあまり見たことがありませんよね。カオス*ラウンジとかも男性たちですよね。男性作家のグループがあるのは興味深いと思っていますが、小城さんの世代では、そういう動きや傾向って感じたりしますか?

 

現時点ではっきりとは傾向は見えていませんが、大学を出た後にそういう動きが強まるのかもしれないですね。

 

今回の人選に小城さん、冨川さん、前川さんが入っているのは、作家の偏りがないように、菊地さんの中で少し気をつけられたんですよね。

 

世代的にも、ジェンダーバランス的にも、ということですね。

 

そうですね。あとは作品の系統的にも。

 

小城くんの場合は、最初から僕にもどんな展示になるのかちょっと予測つかないので、引っかき回してもらえたらいいかなと思っていました。(笑)

 

最後までどうなるのかすごく心配してました。(笑)

 

さっきも少し聞きましたが、「これが自分の個性だ」とか、「こういう所に自分は作品の成立する何かを見出しているんだな」とか、そういう気づいたことは今回ありましたか?

 

…。

 

あまり分析しないでやっている?

 

先ほど「気楽」という言葉を使いましたが、気楽であることは結構重要なのではと思っていて、作品を制作するにしても、「美術」という言語の懐の深さを信用するのがいいんじゃないかと感じています。《リハビリ》シリーズでは感覚的に「これは作品として成立している・していない」という境界線を提示していて、それが実は何パターンかあるんじゃないかと。例えば「自立していれば作品感がある」みたいに、「こうなっていれば作品としてOK」みたいなものが複数あるような。

 

卒展とかはどうするか考えてるんですか?

 

卒展のプランはまだなくて、9月に考えようと思っています。

 

もう来週から9月ですが。(笑)

 

来週…来週ですね。(苦笑)

 

…頑張って下さい。(笑)ありがとうございます。

表良樹『地を仰ぐ|Gazing up the Earth』

表良樹『地を仰ぐ|Gazing up the Earth』

河西:

​表:

藪前:

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藪前:

では次は、ondo STAY&EXHIBITIONで展示をされている表良樹さんです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            『地を仰ぐ|Gazing up the Earth』 展示風景

 

よろしくお願いします。僕が今回の企画に参加させていただいた経緯としては、すでに他の6名の作家が『セルフもっとサテライト』で展示をすることが決まった後に、場所が空いているということを菊地さんから聞いて、僕の方から「展示をさせてほしい」とお願いをしたのがはじまりでした。

 

僕は京都造形芸術大学の学部で彫刻を学んでいたのですが、その後、東京藝術大学の大学院では先端芸術表現専攻で学んだことがきっかけで菊地さんと知り合うことになりました。先端芸術表現専攻では人によって専門領域が異なっていて、例えば僕の同級生でも現代音楽やパフォーマンス、陶芸をやっている人もいれば、僕のように彫刻をやっている人もいました。扱う作品が違うものの、その中でも考え方などで共通する部分があって面白い環境でした。今回の企画のように、それぞれやっていることが異なる作家たちが一緒にプロジェクトを作り上げることで、何か新しい視点が見つけられたらなと思っていました。

 

大学院に入学される前から先端芸術表現専攻を目指されていたのですか? 彫刻を学ばれていましたが、もう少し表現の幅を広げたいということで入られたのでしょうか?

 

目指していた専攻に入れなかったというのもあるのですが、でも結局はこうした出会いがあり、今では学科の助手として働いていて、タイミングと縁のおかげもあり今に至っています。在学中も、それぞれが色々なことをやっている人たちと影響をしあって、成長できたかなと思います。

 

表さんの彫刻作品《Tectonics》では日用品に使われるプラスチック製のボトルなどの容器を使っていますよね。

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 《Tectonics》

2018 | polyester resin, oil paint, mortar | ©︎ Yoshiki Omote

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藪前:

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藪前:

では次は、ondo STAY&EXHIBITIONで展示をされている表良樹さんです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            『地を仰ぐ|Gazing up the Earth』 展示風景

 

よろしくお願いします。僕が今回の企画に参加させていただいた経緯としては、すでに他の6名の作家が『セルフもっとサテライト』で展示をすることが決まった後に、場所が空いているということを菊地さんから聞いて、僕の方から「展示をさせてほしい」とお願いをしたのがはじまりでした。

 

僕は京都造形芸術大学の学部で彫刻を学んでいたのですが、その後、東京藝術大学の大学院では先端芸術表現専攻で学んだことがきっかけで菊地さんと知り合うことになりました。先端芸術表現専攻では人によって専門領域が異なっていて、例えば僕の同級生でも現代音楽やパフォーマンス、陶芸をやっている人もいれば、僕のように彫刻をやっている人もいました。扱う作品が違うものの、その中でも考え方などで共通する部分があって面白い環境でした。今回の企画のように、それぞれやっていることが異なる作家たちが一緒にプロジェクトを作り上げることで、何か新しい視点が見つけられたらなと思っていました。

 

大学院に入学される前から先端芸術表現専攻を目指されていたのですか? 彫刻を学ばれていましたが、もう少し表現の幅を広げたいということで入られたのでしょうか?

 

目指していた専攻に入れなかったというのもあるのですが、でも結局はこうした出会いがあり、今では学科の助手として働いていて、タイミングと縁のおかげもあり今に至っています。在学中も、それぞれが色々なことをやっている人たちと影響をしあって、成長できたかなと思います。

 

表さんの彫刻作品《Tectonics》では日用品に使われるプラスチック製のボトルなどの容器を使っていますよね。

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 《Tectonics》

2018 | polyester resin, oil paint, mortar | ©︎ Yoshiki Omote

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藪前:

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そうです。ポリバケツなどのボトルでシリコンの型をとって、その型に液状のポリエステル樹脂と油絵具を混ぜたものを層になるように違う色を流し込んでいき、最終的に固まったものを地面に落下させて割って、その破片を再構成・再配置する、というものです。今回は小さい作品を展示しているのですが、バケツなどを使った大きな作品を制作する際には手動で動かすのは無理なので、バケツを回せるように専用の機械も作ったりしています。

 

プラスチックは人工物でありつつ、制作時に恣意的な自然現象に結果を委ねる部分もあったりと、自然と人為的なプロセスをミックスしているように思えます。

 

そうですね。自分が操作できる部分と自分が意図できない自然現象を造形の中に加えていくというのが自分のクセのような、ルールのようなものだと考えています。「ものを作る」という意識から「自然にできあがったものをどう組み立てていくか」という考え方に徐々にシフトしていき、この作品に行き着きました。

 

なるほど。色の組み合わせはご自分で決めていらっしゃるんですよね?

 

そうです。自分で操作する部分もありますね。

 

先ほど表さんと個人的にお話をしているときに、フォードの工場で層になった車の塗装から生まれた「フォーダイト」というものが話題に挙がりましたが、これは鉱物として認定されているんですよね?この物体も表さんの作品のように素材は人工物でありつつも、完全に人の手を超越したものですよね。このフォーダイトに比べると、もう少し自分の手を加えて作る、という意識なのでしょうか?

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フォーダイト

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作品タイトルである「Tectonics」という単語は地勢学の用語で、岩石圏の地殻変動の総称を指すのですが、チタンやフォーダイトは人間が体感することができないほどのすごく長い時間をかけて、かつとてつもないエネルギーによって作り出されるわけですが、そういった自然現象のあとを自分の身体行為で追っていく、というのが自分の作品制作の上でコンセプトになっています。例えば小さな石でも5〜6万年という時間をかけて作り出されていたりと、もちろんそんな長さの時間は普通の人間の人生の中では感じ取ることができませんが、自分の作品を介することで感じることができればと。身体と時間の間に作品があるようなイメージですね。

 

「作品を通して知る、体感する」ということですね。最後に割るのは、単純に中身の層を見えるようにするためというのもあるとは思いますが、そこにももっと別の意味はあるのでしょうか?

 

実際の重力を任せて割るという行為自体も、自分の手から離れて自然現象が形を作るということですね。ポリバケツなどの人工物はそれ自体が洗練された彫刻的な形をしたものもあるのですが、その人工的な形を型に出来上がったものを割るという行為によって、自分の操作できない特殊な形が生まれるので、そこが面白いなと思っています。先ほど言ったようにこの作品のタイトルの「Tectonics」は地面の下で起こっている現象を指すので目に見えないものなのですが、そもそも彫刻自体にも共通する点があるなと思っています。例えば粘土を使って出来上がった彫刻作品は、表面にしか形は表れていなくて、粘土の内側を造形することができず、内側を見ることもできません。そんな中でこの作品を作ることでこれまでの彫刻にはなかった側面を提示しています。

 

非常に広がりがある作品ですよね。

 

表さんは、来年に弊廊でも個展を予定していますので、そちらにもご期待いただければと思います。では次に、art lab Melt Meriさんで映像作品の展示をしている小保方さんです。

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