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鈴木麻弓 個展『豊穣』
▼オープニングレセプション
2月18日(土)18:00〜19:00
■会 場
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY
〒106-0031 東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 5F
■会 期
2023年2月18日(土)~ 2023年3月25日(土)
水〜金 13:00〜20:00|土 12:00〜19:00 (日・月・火・祝休廊)
※臨時休廊:2023年3月8日(水)〜2023年3月11日(土)
■主 催
カナカワニシアートオフィス合同会社
▼3/4(土)サタデートーク(14:00〜/16:00〜)
※参加無料・申込不要
(時間は来客状況等により前後する可能性がございます。
最新情報は作家Twitterにてご確認ください。)
3/4(土)は鈴木麻弓が終日在廊し、14:00〜/16:00〜の計2回「サタデートーク」と題して鈴木本人が作品の制作背景等について語ります。
▼3/18(土)トークイベント(14:00〜)
ゲスト:片岡英子氏
※参加無料・申込不要
Newsweek日本版フォトディレクターの片岡英子氏をゲストにお迎えし、鈴木との対談を行います。
▼2/18(土)トークイベント
※ 本イベントは終了いたしました ※
日 時:
場 所:
登壇者:
参 加:
2023年2月18日(土)17:00〜18:00
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY
小林美香氏(写真研究者) × 鈴木麻弓(写真家)
入場無料/予約不要(先着15名着席)
2020-2021 | archival pigment print | ©︎ Mayumi Suzuki, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY
2020-2021 | archival pigment print | ©︎ Mayumi Suzuki, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY
from the series, HOJO
2020-2021 | archival pigment print | ©︎ Mayumi Suzuki, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYは、2023年2月18日(土)より鈴木麻弓個展『豊穣』を開催いたします。
宮城県女川町で代々営まれる写真館に生まれた鈴木麻弓は、写真と深い関わりを持ちながら育ち、写真が紡ぎ出す物語をとおし、表現による解放を信念に感じさせる作品を発表してきました。デビュー作である前作〈The Restoration Will〉は、東日本大震災で自身と家族に起こったできごとを静謐に受け止めながら前をみつめる姿に、強く心を揺さぶられる作品でしたが、続いて二作目となる〈豊穣(HOJO)〉もまた、自身の体験を基軸にしています。
本作は、鈴木が高度不妊治療(IVF)の継続を断念した帰り道にみつけた二本足の人参などの売れ残った野菜たちに自身の姿を重ねたことを、物語の起点としています。内診においてはとても短く、撮影においては丁寧に体感させられる、およそ60秒という時間をかけて被写体と向き合うことで、命の連鎖のかたちを示します。
女性の裸体、奇形の野菜、受精卵など、一見するとそれぞれに独立した被写体に思われるそれらは、本作では極めて必然的に等価に扱われ、命の姿として同様であることに気付かされます。また人智を超えたものに抗わない一種の清々しさをも感じさせます。
本展覧会は、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYが初めて鈴木麻弓を紹介する展覧会となりますが、鈴木にとっては初めてコマーシャルギャラリーで開催する個展でもあります。写真表現に正面から取り組みながら、芯に迫る物語に昇華させることで国内外へと活躍の場を広げる鈴木麻弓の転換点となるこの度の展覧会を、是非お見逃しなくご高覧いただけますと幸いです。
from the series, “HOJO”2020-2021 | archival pigment print | ©︎ Mayumi Suzuki, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY | from the series, “HOJO”2020-2021 | archival pigment print | ©︎ Mayumi Suzuki, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY |
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from the series, “HOJO”2020-2021 | archival pigment print | ©︎ Mayumi Suzuki, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY | from the series, “HOJO”2020-2021 | archival pigment print | ©︎ Mayumi Suzuki, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY |
アーティストステートメント
タイトルの「豊穣」は土地の豊かさや豊穣を意味し、英語ではFertilityです。日本では古くから女性を豊穣の神として崇め、女性が豊かな農作物と多くの子供に恵まれることを理想としてきました。この物語は、私が41歳の時に始めた体外受精IVFの体験談をもとに書かれています。
この物語の中で、私は自分が異常者であることを認めようとしています。暗闇の中でスポットライトを浴びて約60秒間自分を撮影することは、じっくりと自分を見つめ直す時間でもあります。診察台での不安な時間、採卵の痛み、着床への淡い期待を思い出すこともあれば、冷静になれる瞬間もありました。
医師は診察椅子に座った患者を60秒くらいで診察します。次から次へと来院する女性患者が多いため、一人一人の診察にあまり時間をかけないようです。私はもっと丁寧に診てもらいたいと思いました。診療所の帰り道、市場で見つけた奇形野菜が売れ残っていて、自分の不妊のように惨めな姿をしていました。そこで、野菜一つひとつを優しく扱い撮影しようと考えたのです。
技術的な面では、「ダイレクトポジティブペーパー」を装填し、4x5インチのカメラで撮影しています。この方法では、長時間露光をコントロールすることで、検査時の様子を再現しています。たまにクリニックからもらった受精卵の写真を挿入することもあります。ドット柄のラフなプリントです。妊娠できる受精卵とできない受精卵の違いがどこにあるのか写真では解りにくいですが、拡大するとただの点です。体内の何億という細胞の中に、妊娠を妨げている要因があるとすれば、その異常値を探さなければいけません。それは果てしなく続く不毛の地を連想させます。
今の時代、女性はどう生きるかを選ぶことができますが、時には自分ではどうしようもない運命を受け入れなければならないこともあるのです。たとえ自分の体が「肥沃」でなかったとしても、自分の命である以上、誇りを持ちたいと私は思っています。
鈴木麻弓
アーティストプロフィール
鈴木麻弓 (すずき・まゆみ)
1977年、宮城県女川町生まれ。現在は神奈川県逗子市在住。卒業後フリーランスとして、ポートレートを中心に活動。2011年東日本大震災にて、故郷である女川町の7割が壊滅、両親が行方不明となる。以降、故郷へ足しげく通い、地域の人々の前に進む姿を記録し続けている。現在、日本大学芸術学部写真学科准教授。
主な個展に、『The Restoration Will/The Place to belong』(2018年、Galeria Miejska Arsenał、ポズナン・ポーランド)、『The Restoration Will』(2018年、SPAZIO LABO、ボローニャ・イタリア)、『The Restoration Will』(2017年、Reminders Photography Stronghold、東京)など。
主なグループ展に、京都国際写真祭 『10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭』(2022年、HOSOO GALLERY、京都)、『Biennale de Photographie en Condroz』(2021年、ベルギー)、『あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17』(2020年、東京都写真美術館、東京)など。
主な受賞歴に、PHotoESPAÑA 2018 Best Photography Book of the Year受賞(2018年、スペイン)、Photobooxグランプリ受賞(2017年、イタリア)他多数。
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