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『アキラトアリキノアラタナアリタ:

現代陶芸としての有田焼』

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—contemporary arita porcelain—

 

 

▼オープニングレセプション

12月09日(土)18:00〜20:00

 

▽アーティストトーク

12月09日(土)19:00〜

 

藤元明(アーティスト)

× アリキ・ファンデルクライス(アーティスト)

 

モデレーター:石沢依子

 (Creative Residency in Arita プログラムディレクター)

■出展作家

藤元明、アリキ・ファンデルクライス

 

■会  場   

KANA KAWANISHI GALLERY

 〒135-0021  東京都江東区白河4-7-6  白河和楽ビル1F

 

■会          期               

2017年12月09日(土)~ 2018年02月03日(土)

12:00-19:00  |  日・月・祝祭日休廊  

*12/23〜1/8は年末年始休廊
*二部構成(会期中に展示替えを行ない、1/9より第二期をお届けします)

 

 

トークイベント第二弾

「『現代陶芸』をかんがえる:伝統工芸と現代美術の摩擦が生み出す新しきもの 」

日 時:   2018年1月13日(土)17:00〜18:45(16:50〜受付開始)

 

登壇者:  鈴田由紀夫氏(佐賀県立九州陶磁文化館・館長)

      堀内奈穂子氏(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]キュレーター) 

                      藤元明(アーティスト)

 

参加費: 事前予約500円/当日1000円(ワンドリンク付)

■ トークアーカイブ ■

■登壇者プロフィール

 

鈴田由紀夫(すずた・ゆきお)

 

佐賀県立九州陶磁文化館館長。1952年佐賀県生まれ。77年九州芸術工科大学卒業、79年同大学大学院修士課程を修了。同館学芸員を経て2010年から館長を務めている。共著に「伊万里青磁 (古伊万里シリーズ2) 」(古伊万里刊行会刊)、「古伊万里―見る、買う、使う 人気の和食器の魅力をさぐる (講談社カルチャーブックス)」(講談社刊)、共編に「色絵磁器 (やきもの名鑑)」(講談社刊)などがある。幕末から近代までの様式を一冊に凝縮させ、明治期の有田焼を網羅して紹介する「明治有田 超絶の美」(世界文化社刊)を監修。

 

 

堀内奈穂子(ほりうち・なおこ)

 

特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]キュレーター

エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。2008年より、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]に携わる。AITでは、展覧会やイベント、トークの企画・運営の他、教育プログラムMAD(Making Art Different)のレクチャラーを務める。ドクメンタ12マガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 - 何をなすべきか? 東京」(2007年)アシスタント・キュレーター、「Home Again」(原美術館、2012年)アソシエイト・キュレーター、アーカスプロジェクト(2013年)ゲストキュレーター。2015年は、国際交流基金主催による展覧会「Shuffling Space」(タイ、2015年2月) のキュレーター、オークランドで開催される日本人作家の展覧会「Invisible Energy」(ST PAUL St Gallery、ニュージーランド、2015年2月)の共同キュレーターとして携わる。

KANA KAWANISHI GALLERYは、2017年12月09日(土曜日)より『アキラトアリキノアラタナアリタ:現代陶芸としての有田焼』と題し、藤元明とアリキ・ファンデルクライスの二人展を開催いたします。

 

 

*  *  *

 

 

藤元明(ふじもと・あきら)は、都市空間の中に生じる時空間的な隙間を活用し展示空間を出現させる『ソノ アイダ』プロジェクトや、2020年に迫る東京オリンピックの「祭りの後」を瞬時に人々に想起させる『2021』プロジェクト、あるいは世界的なパブリックドメインであるリサイクルマークを「時代環境に合わせて更新させ続ける」というコンセプトで商標登録にまで成功し展開を続ける『NEW RECYCLE®』プロジェクトなど、社会や環境など個人では制御しきれない種々な「現象」をアイロニカルに表象化する作品群で知られています。

 


2014年頃より3年以上に渡り取り組んでいる『ARITA PORCELAIN PROJECT』では、400年の歴史を誇る日本伝統工芸のなかでも正統性と革新性を誇る伝統的な有田焼の窯元のひとつである「ARITA PORCELAIN LAB(アリタ・ポーセリン・ラボ)」と共同で、窯元の倉庫に眠る流通不能となったデッドストックに対し、伝統技法の型を打ち破りタブーを侵していく態度で向き合うことで、流通から外れて身動きを取れなくなってしまった伝統工芸品の数々に対し現代美術品としての新たな命を吹き込み続けています。

Laminations  series

2015, arita porcelain

© Akira Fujimoto, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

 

Cancel  series

2015, arita porcelain

© Akira Fujimoto, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

 

例えば《Laminations》シリーズでは、本来は廉価版有田焼を実現させるための効率的な絵付のために開発された転写型絵付釉薬シートを、職人のそれまでの数十年に及ぶ経験則を打ち破り「幾重にも重ねる」ことで、既存の有田焼にはみられない新たな表現をつくりだしています。また豪華絢爛な手描き絵付がなされた有田焼の大皿や壺にダイナミックな幾何学模様をプラチナで描き加える《Cancel》シリーズでは、皮肉にも「元の絵柄を打ち消す」ことで見事に新たな価値を引き出しています。さらに最新作のひとつ《Osmosis》シリーズでは、通常は素焼きの状態で染付に用いられる呉須(ごす)を、順序を変えて高温で透明釉を施された本焼きの後にかけることで、かつてない新たな染付表現を実現させています。さらに並んで最新作のひとつである《Conservation》シリーズでは、器の機能性を完全に消去して純粋に造形としてみつめなおすことで、これまでの価値観では計り知れない未踏の造形物をつくりだしています。

Concervation  series

2017, arita porcelain

© Akira Fujimoto, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

 

Osmosis_Full of Tears series

2017, arita porcelain

© Akira Fujimoto, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY


 

*  *  *

 

 

アリキ・ファンデルクライスは、サンドベルグ・インスティテュート応用美術科課程修了。テキスタイルや写真などのメディウムを主軸に「素材」や「自然」に内在する形象を作品として発表し、アムステルダム、ニューヨーク、ミラノ、上海、北京、東京など世界各地で発表を行なってきました。2017年9月からは3ヶ月間に渡り、佐賀県とオランダ大使館のクリエイティブ産業協定の元にオランダモンドリアン財団とクリエイティブインダストリ財団からの助成を得て設立された「Creative Residency in Arita 」の招聘アーティストとしてリサーチ及び滞在制作を行ない、本展では、その滞在制作過程で生み出されたいくつもの新表現をチャプターとして見立て、複数章から成る「Album Arita」として有田焼400年の歴史を刷新する各シリーズを展開します。

 

《Whirls》シリーズでは、ゆっくりと回転させている皿に呉須をエアブラシで吹き飛ばしながら絵付を行なうことで、鍋島焼組紐文の新解釈とも参照されうる新たな表現を生み出しています。《Marbling》シリーズでは、コート紙の上に染付顔料をブラシで描きつけ、その上に透明のクリーニング液を垂らすことで導き出される液体同士の物理反応に造形を委ねることで、かつて見出されたことのない新たな文様をつくりだしています。また2013年からテキスタイルや写真作品として発表を続けてきた《Made By Rain》シリーズでは、実際に地表に降り落ちる雨粒が作り出す模様を釉薬に定着させ、地球の織り成す自然の様相を有田焼磁器と融合させることに成功しています。

 

 

さらに《Disappearing Mountain》シリーズでは、人間が採掘しつくして山がまるごと消えてしまった採石場の風景に強い衝撃を受け、石切場で拾得した有田の土が凝縮された石に、有田町内でみつけた格子柄の着物文様を転写することで、山ごと掘り尽くしてきた際限の無い人間の底知れなさを端的に表しています。その一方で《Overglaze》シリーズは、豪華絢爛な典型的有田焼に施されることの多い赤い上釉からインスピレーションを得て、日々の窯元と宿泊所との往復移動中に偶然遭遇したまるで赤い上釉が施されたかのような日常の風景を、これまで表現の主軸としてきた写真作品として発表することで、新たな解釈の視点を提示します。

 

 

Overglaze series

2017,  archival pigment print on hahnemuhle paper

© Aliki van der Kruijs, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY


 

*  *  *

 

 

各々の文化的背景とバックグラウンドを駆使し、それぞれに現代陶芸としての新たな有田焼表現に没頭してきた、藤元明とアリキ・ファンデルクライス。二人の力作揃いの新作を集約させた本展は、前期と後期の二部構成にて会期中に展示替えも挟みながら、満を持して開催いたします。幾通りもの文脈と解釈を可能とする本展、是非ともご期待頂けましたら幸甚です。

 

 

アーティストプロフィール

 

■藤元明(ふじもと・あきら)


1975年東京生まれ、東京在住、東京藝術大学デザイン科卒業。1999年コミュニケーションリサーチセンターFABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学大学院を修了(デザイン専攻)。東京藝術大学先端芸術表現科助手を経て、社会、環境などで起こる制御出来ない現象を社会へと問いかける展示やプロジェクトを立案・実施。様々なマテリアルやデジタル制御を組合わせ作品化している。主な個展に『HEY DAY NOW』(コートヤードHIROOガロウ/KANA KAWANISHI GALLERY企画/2015年)、『ENERGY TRANSLATION NOW』(UltraSuperNew Gallery/KANA KAWANISHI ART OFFICE企画/2014年)、『PEAK OIL』(CAPSULE Gallery/2014年)等。主なグループ展に『ソーシャリー・エンゲイジド・アート:社会を動かすアートの新潮流』(アーツ千代田3331/2017年)、『この都市で目が覚めて』(HIGURE 17-15 cas/2016年)など。都市に生じる時空間的な隙間を活用するアートプロジェクト「ソノ アイダ」を主宰。

Photo by Lonneke van der Palen

 

■アリキ・ファンデルクライス


1984年ドゥールネ生まれ、デン・ハーグ在住。ArtEZ芸術大学ファッションデザイン科卒業(2007年、アーネム)、サンドベルグ・インスティテュート応用美術科課程修了(2012年、アムステルダム)。テキスタイルや写真などのメディウムを主軸に「素材」や「自然」に内在する形象を顕在化させる作品群を世界各地で発表。主な展覧会に『Designroute』(ゾイネム海美術館、エンクホイゼン、2017年)、『Parelgoud – Plaatsmaken』(アーネム美術館、アーネム、2016年)、『The Future of Fashion is Now』(ボイマンス美術館、ロッテルダム、2014年/OCT Contemporary Art Terminal、上海、2015年)、『Salon/Kant』(ビジュベル博物館、アムステルダム、2013年)等。2017年9月より、佐賀県とオランダ大使館のクリエイティブ産業協定の元にクリエイティブインダストリ財団からの助成を得て設立された「Creative Residency in Arita 」招聘アーティストとして、佐賀県に滞在制作。

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