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井村一登 個展

『折衷案がもたらすNレンマ』

■会          期               

2024年3月23日(土)~ 4月20日(土)

水曜日〜土曜日 13:00〜18:00

(日・月・火・祝 休廊

▼オープニングレセプション

3月23日(土)17:00〜18:00

■会  場   

KANA KAWANISHI GALLERY

 〒135-0021  東京都江東区白河4-7-6

※ギャラリー前に車をお停めいただけます

■主  催

カナカワニシアートオフィス合同会社

▼トークイベント

 

「鏡としてのアート」

日 時:

場 所:

登壇者:

参 加:

2024年4月13日(土)17:00〜18:30

KANA KAWANISHI GALLERY

井村 一登(アーティスト) × 菅 実花(アーティスト)× 岩垂なつき(美術批評)

​入場無料/予約不要

※満席の場合は、立見や入場制限となる場合がありますので、ご了承ください

※本イベントは終了いたしました

■ トークアーカイブ ■

■ゲストプロフィール

菅 実花(アーティスト)

情報科学芸術大学院大学准教授。京都芸術大学大学院 芸術研究科(通信教育)特任准教授。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士(美術)。大衆的な写真文化と、人形の文脈を交錯させた写真・映像作品を手がけている。人形写真という二重にメディア化されたイメージを用いることによって、生命と非生命、本物と偽物、過去と未来など対比そのものを撹乱する。主な個展に2022年「鏡の国」トーキョーアーツアンドスペース本郷(東京)、2021年「BankART U35 菅実花個展」BankART KAIKO(横浜)、「仮想の嘘か|かそうのうそか」資生堂ギャラリー(東京)など。VOCA展2020奨励賞受賞。


岩垂 なつき(トーキョーアーツアンドスペース事業担当/美術批評家)

1990年長野県松本市生まれ。2015年東京藝術大学大学院美術研究科芸術学専攻修了(美学)。 ヴァンジ彫刻庭園美術館の学芸員、アーツ千代田 3331の広報等を経て、現在はトーキョーアーツアンドスペース事業担当として勤務。個人の活動として美術評論の執筆なども行う。

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2024 | glass, aluminum, frame | 698 × 407 mm
© Kazuto Imura, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY, photo by Yuki Kawanishi

KANA KAWANISHI GALLERYは、2024年3月23日(土)より井村一登個展『折衷案がもたらすNレンマ』を開催いたします。


井村は2021年にアーティスト活動を開始して以降、類稀なる深度を持って「鏡」というモチーフを一貫して追求し続けるアーティスト。紀元前の遺跡から出土される黒曜石から、現代の光学機器や全国各地の素材に至るまで、鏡面にまつわるあらゆる要素を多面的にアプローチすることで、人類が古来より渇望してきた「自分は何者なのか」という問いがもたらす種々な諸問題を、網羅的に問い続けています。

KANA KAWANISHI GALLERYでの初個展となる本展では、「ガラスと鏡と写真の中間値的な何か」とでも呼べそうな、独自の表現を、初めて発表いたします。「ジレンマ(dilemma)」という言葉は、数字の2を表す接頭語である「di」が提示するとおり、2つの選択肢に迫られるなかで余儀なく抱えさせられる矛盾や難しさを示す言葉ですが、本展において井村は、人間社会が抱えてきた無数の主張、事実、可能性、選択肢、及び折衷案を抽出すべく、「Nレンマ」という造語を用いて展示へと昇華させます。


「自身の内面は自身のみが知り、自身の外見は他者にしか見えない。鏡像や写真は外見の再現 (re-presentation)の像であり、それ自体ではない。つまり内面、外見を双方向から知る存在がいない」とは井村自身の言葉ですが、世界中の日常生活に浸透し切っている「鏡」という存在は、改めてみつめてみると非常に原始的な問いかけを含んでいることに気付かされます。

自分は何者であるか。自身の内面は自分しか知ることができないというのに、自身の外面は他人にしか認知されないというジレンマ。根源的な欲求であると同時に、古来は極めて神秘的なものであったとされる「鏡」をモチーフに独自に掘り下げ、現代社会の複雑さに対峙する井村一登の新たな表現を、是非お見逃しなくご高覧ください​。

“mirror in the rough 3928g”

“mirror in the rough 3928g”

2024 | glass, aluminum | H150 × W204 × D105 mm | © Kazuto Imura, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY, photo by Yuki Kawanishi

“tele portrait square 450” (detail)

“tele portrait square 450” (detail)

2024 | glass, aluminum, frame | 481 × 481 mm | © Kazuto Imura, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY, photo by Yuki Kawanishi

アーティストステートメント

折衷案がもたらすNレンマ

 

「何も言っていない」と同等な情報が世に溢れている。

 

会話の結論は常に「人それぞれのバランスで、可能な限りの努力を」に帰着する。生活、規則、環境への配慮に加え、専門家が導入する新たな単位や基準値、またプラットフォームと同時に生まれる暗黙のルールの中にいる。ジレンマ以上の膨大な選択肢に包囲されることで自身が満足できることは不可能だと察する。

知識を得るたびに自身の無知に気付き、見えない視点、可能性の分布を想像で補い、より安易に言葉を発することを恐れる。何か一つ断言するには、本文以上の注釈で齟齬を回避し、他者への扇動の可能性も排除しなければならない。

 

本展では、途方に暮れた結果、様々な痕跡を残した鏡を展示する。

折衷が生んだその鏡は、鏡としての主張もまともにできない静かな鏡である。

井村 一登

アーティストプロフィール

井村 一登(いむら・かずと)


1990年京都市生まれ。2015年京都市立芸術大学総合芸術学科卒業。2017年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。

自身の内面は自身のみが知り、自身の外見は他者にしか見えない。鏡像や写真は外見の再現 (re-presentation) の像であり、それ自体ではない。つまり内面、外見を双方向から知る存在がいないことに興味を持ち、自身を内包させた鏡を他者に見せることをテーマに制作を行う。それは光学機器や映らない鏡、魔鏡、黒曜石、回転液体鏡など、素材や技法を横断し、現代の科学から神話や祭祀など考古学的観点まで遡り、人と鏡の関係性の変遷を追う。

近年の主な個展に「mmmwm」(2023年、日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリー、東京)、「Æ/æ」(2022年、MA5 GALLERY、東京)、「quaquaqua」(2021年、DiEGO表参道、東京)ど。グループ展に「マツモト建築芸術祭」(2023年・2022年、長野)、「青山行不尽3:唐詩の道中日芸術家作品特別展」(2022年、浙江展覧館、中国・浙江省)、「Sense Island – 感覚の島 – 暗闇の美術島 2021」(2021年、猿島、神奈川)など。

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