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小松敏宏 個展
『空間概念:透視2022.9.3』

■会          期               

2023年9月3日(日)~ 2023年10月14日(土)

水曜日〜金曜日 13:00〜18:00|土曜日 13:00〜19:00

(日・月・火・祝 休廊)

※初日 9/3(日)のみ 13:00~18:00 にてオープン

※臨時休廊 9/20(水)〜27(水)、10/4(水)〜7(土)

■会  場   

KANA KAWANISHI GALLERY

 〒135-0021  東京都江東区白河4-7-6

※ギャラリー前に車をお停めいただけます

■主  催

カナカワニシアートオフィス合同会社

▼トークイベント

「建築と写真と現代美術:『見えない』ものをみるための写真? 内と外から考える」

日 時:

場 所:

登壇者:

2023年9月3日(日)17:00〜18:00
KANA KAWANISHI GALLERY

小松敏宏(アーティスト)× 井波吉太郎(東京都現代美術館 学芸員)

入場無料/予約不要

※満席の場合は、立見や入場制限となる場合がありますので、ご了承ください

CT006461(KKG)
2022 | lambda print | 620 × 880 mm | ©︎ Toshihiro Komatsu, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

KANA KAWANISHI GALLERYは、2023年9月3日(日)より、小松敏宏個展『空間概念:透視2022.9.3』を開催いたします。


東京藝術大学大学院美術研究科修了後、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院建築学部を修了した小松敏宏は、アムステルダム・ライクスアカデミーやニューヨークでの滞在制作を経て、MoMA PS1やクイーンズ美術館で個展をするなど、欧米をベースに精力的に活動し、帰国後は瀬戸内国際芸術祭(2013)や越後妻有アートトリエンナーレ(2012/2015)などの国際芸術祭を中心に、サイトスペシフィック・インスタレーションやパビリオン(仮設建築)の他、写真表現などを用いて、事象の認識を更新させる視覚芸術を重ねてきました。


清澄白河で3年振りの個展となる本展は、建築空間のレイヤーを打ち消す透視写真シリーズ 〈CT〉を、ギャラリー空間を活用したサイトスペシフィック・インスタレーションとして発表する意欲的な内容となります。2023年9月3日から始まる本展覧会に足を運んだ鑑賞者は、ギャラリー内の壁をとおし、1年前の2022年9月3日のギャラリー外の様子をみる鑑賞体験へと誘われます。1900年代のNYで活躍をしたアーティストのゴードン・マッタ=クラークは、建造物の実空間に直接穴を穿ち景色を更新させましたが、写真技術を駆使する小松は、日々生活のなかで利用されている現役の建造物の壁を扱いながらも、その向こう側の景色を呼び起こします。

同時に発表する〈CT(ペインティング)〉シリーズでは、絵画作品の向こう側をみせることで、二次元と三次元空間が越境する表現を展開します。絵画とも写真とも呼びうる作品には、彫刻的概念もが内在し、1940年代末〜50年代にルチオ・フォンタナを中心に提唱された「空間主義(スパツィアリスモ)」を21世紀的に継承していると言えるかも知れません。

記憶、視覚、空間認知など、人間の知覚の根幹に揺さぶりをかける小松敏宏ですが、清澄白河のギャラリー空間を活用したサイトスペシフィックな本展では、さらに2022年と2023年という、世間が新型コロナウイルスに席巻される前後の1年間の時間をも扱います。新たな鑑賞体験を導き出す意欲的な本展覧会を、是非お見逃しなくご高覧いただけますと幸いです。

アーティストステートメント

「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」(えどをしょうしてとうきょうとなすのしょうしょ)によれば、1868年9月3日は江戸を東京と呼ぶことが決まった日である。それから154年後の2022年9月3日、私は東京の清澄白河でコロナ感染症が拡まって3年目の夏の日の光景を、ホワイトキューブを透視するように連続してシャッターを切った。そして更に1年後の2023年9月、1年前の此処ギャラリーの光景が透視インスタレーションとCT(KKG)によって呼び起こされる。果たして1年という時間の経過は、現実と写真を見比べることにより可視化されるのか。


「スラッシュ」(切り裂き)の絵画で有名なルチオ・フォンタナを、私は最近まで画家だと思い込んでいたのだが、実は彼が彫刻家だったと知って驚いた。フォンタナは「穴」と「スラッシュ」の絵画以前、彫刻を造っていたのだ。彼のリアルな「穴」と「スラッシュ」の絵画は彫刻に近いものであり、3次元的イリュージョンを排除した作品である。今回の透視インスタレーションとCT(KKG)は、フォンタナの空間概念シリーズをスタイル(様式)として強く意識したものである。CTシリーズは画面をバーチャルに分割する「ジップ」(線形)から始まり、「穴」をへて「スラッシュ」を思わせるバーチャルな切り裂きへと進化した。


「絵の向こうには壁があるだけだ」と言ったのはピカソである。フォンタナの「穴」のシリーズはキャンバスをくり抜いた穴から壁を実際に覗き見せ、絵の周囲の空間を絵の内部に召喚した。しかしフォンタナの「スラッシュ」シリーズの画布の裏には黒い紗が貼られていて、切り裂いた画布から向こうの壁を見ることができない。ピカソがトロンプ・ルイユを否定したのに対して、フォンタナの「スラッシュ」はそれを利用して黒い切り裂きを描いたようにも見える錯視を利用した作品である。新作であるCT(PAINTING)は、キャンバスに油彩というフォーマルなモノクロームペインティングをベースにしたCT作品である。絵の向こうにある壁やネジ(金具)を写真により透視して見せることで、絵の周囲の空間を絵の内部に召喚し、目に見える世界だけでなくその先にある奥を見通す。

小松敏宏

アーティストプロフィール

小松敏宏(こまつ・としひろ)


1966年、静岡県浜松市生まれ。京都精華大学教授。1993年、東京藝術大学大学院美術研究科修了、1999年、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院建築学部修了。


主な個展に『ミザナビーム|Mise en Abyme』(2022年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京)、『Aperture—眼差しを穿つ』(2020年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『トポフィリア(場所愛)—ジャパニーズ・ハウス』(2020年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京)、『TOSHIHIRO KOMATSU』(2009年、ウィンブルドン芸術大学ギャラリー、イギリス・ロンドン)、『サナトリウム』(2006年、遊工房アートスペース、東京)、『透視 2005.9.21』(2006年、galerie16、京都)、『クイーンズフォーカス03:隣接する空間』(2000-2001年、クイーンズ美術館、アメリカ・ニューヨーク)、『Special Projects Fall 1999』(1999年、MoMA PS1、アメリカ・ニューヨーク)など。

 

グループ展・芸術祭に『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015』(2015年、新潟)、『On the Exhibition Room』(2015年、特定非営利活動法人キャズ、大阪)、『島からのまなざし なぜ今、アーティストは島へ向かうのか』(2014年、東京都美術館、東京)、『瀬戸内国際芸術祭2013』(2013年、香川)、『日本の新進作家 vol.2:幸福論—小松敏宏・蜷川実花・三田村光土里』(2003年、東京都写真美術館、東京)など。

展示風景

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