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三保谷 将史 個展

『Images are for illustration purposes』

 

 

▼オープニング・レセプション

2019年8月24日(土)18:00-20:00

*どなたさまもご自由にお立ち寄りください

■会 場  

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

〒106-0031 東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 5F

TEL 03-5843-9128

 

■会 期               

2019年 8月24日(土)~  2019年9月 21日(土)

火〜金 13:00-20:00|土 12:00-19:00

(日・月・祝休廊)

※臨時休廊:9/3(火)〜9/7(土)

▼クロージング・トークイベント

・日 時:2019年9月21日(土)17:00〜18:00

・場 所:KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

・登壇者:小高美穂(キュレーター)× 三保谷将史(アーティスト)

■ トークアーカイブ ■

from the series Images are for illustration purposes

©︎ Masashi Mihotani, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYは、2019年8月24日(土)より三保谷将史個展『Images are for illustration purposes』を開催いたします。

 

三保谷の弊廊での初個展となる本作品は、パッケージ商品に多くみられる「写真はイメージです」という表記の英文にあたる〈Images are for illustration purposes〉をシリーズ及び個展タイトルに冠しています。至るところにまで大量消費社会の浸透した現代において、コンビニやスーパーマーケットで消費者が日常的に手にするスナック菓子や食品や日用品のパッケージを、三保谷は本作の素材に起用しています。商品パッケージには、食欲などをかき立てるいわゆる「イメージ写真」が声高に印刷されていますが、三保谷はそれらのパッケージをそのまま暗室でフォトグラム(*)の素材とし、得られたイメージを手焼きカラープリントにて発表しています。

 

より美味しそうに、より魅力的にと明確な意図を持って箱や外袋に印刷されたそれらのイメージは、写真のネガに替えて光を透過される過程で、シワやマテリアルなどのテクスチャーが現れ、色彩は反転され、フレーミングやトリミングなどの写真的要素も加わり、元々の文脈から観る者を中空へと放り出します。

 

本来は人間の本能を刺激し、購買へと誘導させるためにつくられたイメージは、「光」や「フレーミング」といった極めてオーソドックスな写真的技法を介し、まるで未知なる存在であるかのように鑑賞者の前に立ち現れます。日々見慣れたはずのそれらの画像は、大量消費を前提とする資本主義の異相としてもみられると同時に、慣れ親しんだ身近な存在の未知なる側面が提示されることで、無意識的に行われる「みる」「わかる」という行為の根幹を鮮やかに揺さぶります。

 

三保谷の東京での初個展となるこの度の貴重な機会を、是非ご高覧頂けましたら幸いです。

*フォトグラム(Photogram, Photogramm, Fotogramm)とは、カメラを用いずに、印画紙の上に直接物を置いて感光させるなどの方法により制作された写真作品。

アーティストステートメント

コンビニやスーパーマーケットに並ぶお菓子や日用品、そのパッケージに印刷されたイメージ写真を素材に、カラーの暗室で制作している。チョコレートの箱であったり、冷凍食品の袋といった類のものへ、写真のネガと同様に光を透過させる。物質を経由する光は、その材質や、折れ目やシワといった状態もイメージに変換し、また色は反転し定着される。もともとの文脈からも切り離されることで、本来容易に連想できたはずの具体的な情報はすでに無く、不可解な像だけが印画紙に残る。

 

光の性質の点から見れば、たとえば反転した色彩は、物体に吸収されて私たちの目には届かなかった、いわば光の裏側であり、サーモグラフィーなどのように現実との物理的な接点を持つ光景とも言える。その意味で印画紙は、視覚媒質としての光を受け取るチャンネルが無数にあることの隠喩を写しているようでもある。引き伸ばしやフレーミングも掛け合わされ、対象を包括していた概念から切断されたことによる分からなさに、もとはそれを分かっていた私達という主体の、その認識構造もかさなる。自然選択された生物の柄や形状、生態などがその環境自体を物語るように、大量生産される印刷物に潜在する不可解な像は、消費社会という名の自然を、たとえば網点の配列や、おいしそうな形といった表象によって映し出すいきもののようにも思える。

 

写真を続ける理由に、こどもだった頃の虫取りの記憶はよく心当たる。身近に存在する不可思議なそれらを体験的に、また他者との共有も通して多角的に認識していく一連が似ているし、暗室で出会うこれらのイメージに、まるで生まれてはじめて見た虫のように惹きつけられる感覚がある。それは当時目に焼き付け続けていた多様な色彩と形象のパターンの集積が創出する特徴量 (*)であり、一枚の版のようなものとして、自分の目に映る日常の風景を、今も見続けている。そうした視覚の原体験はまた「みえている」ということ自体への興味としても今に続いている。

 

—三保谷将史

* 特徴量(とくちょうりょう)

特徴量とは、データサイエンスと機械学習において、分析しようとしているオブジェクトの測定可能なプロパティ。データセットに含める特徴量は、業種と、何の分析を試みるかに応じて大きく異なる場合がある。たとえば銀行の特徴量には、たいてい各顧客の信用格付けが含まれ、病院のデータセットに一般に含まれる特徴量には、患者別およびワクチンのタイプ別のワクチン接種データがある。(参考:https://www.datarobot.com/jp/wiki/feature/

アーティスト・プロフィール

三保谷将史(みほたに・まさし)


1987年、大阪生まれ。主な個展に『※写真はイメージです。』(2016年、ZAZIE hair、大阪)、『インセクトゥム』(2014年、La galerie、大阪)など。グループ展に『第8回大理国際写真祭』(2019年、中国・大理)、『YPF exhibition 2019』(2019年、galerie MONSTRE、フランス・アルル)、『Today is』(2019年、ソニースクエア渋谷プロジェクト、東京)、『NEW JAPAN PHOTO 7 LAUNCH EXHIBITION』(2018年、CHI-KA、UAE・ドバイ)、『Next Project』(2018年、東川町国際写真祭、北海道)など。2018年、「JAPAN PHOTO AWARD」(太田睦子・IMAエディトリアルディレクター賞)受賞。同年、便利堂による「HARIBAN AWARD 2018」にて最終選考に選出。

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