top of page

飯沼珠実個展

『Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家/二度消された記憶』

 

 

▼オープニング・レセプション

2019年11月9日(土)19:15-20:00

*どなたさまもご自由にお立ち寄りください

■会 場  

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

〒106-0031 東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 5F

TEL 03-5843-9128

 

■会 期               

2019年 11月9日(土)~  2019年12月 14日(土)

火〜金 13:00-20:00|土 12:00-19:00

(日・月・祝休廊)

※短縮営業:12月7日(土)12:00〜17:00

■広報協力

​ドイツ連邦共和国大使館

ゲーテ・インスティトゥート

social-media-data.png
ダウンロード.png

▼オープニングトーク

深緑野分×飯沼珠実

「歴史の現在/リアリティ:日本人がみつめるドイツの偶然と必然」

日 時:   2019年11月9日(土)18:00〜19:15(開場 17:50)

場 所:  KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

      〒106-0031 東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 5F

登壇者:  深緑野分(小説家、『ベルリンは晴れているか』著者)

      飯沼珠実(アーティスト)

定 員:  40名(先着25名着席)

料 金:  事前予約無料/当日500円

■登壇者プロフィール

 

深緑野分(ふかみどり・のわき)

小説家。1983年、神奈川県生まれ。2010年「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞で佳作に入選、2013年に同作を含む短編集『オーブランの少女』(東京創元社)でデビュー。第二次世界大戦直後のドイツを舞台に書かれた『ベルリンは晴れているか』(2018年、筑摩書房)にて第160回(2019年)直木賞候補に選出。その他の著書に『戦場のコックたち』(2015年、東京創元社)、『分かれ道ノストラダムス』(2016年、双葉社)。2017年、第66回神奈川文化賞未来賞受賞。

Unter den Linden, Mitte

from the series  JAPAN IN DER DDR - Gestohlene Erinnerungen wurden erneut zerstört

2016 | type c print | 178 × 126 mm | ©︎ Tamami Iinuma, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYは、2019年11月9日(土)より飯沼珠実個展『Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家/二度消された記憶』を開催いたします。本展のオープニングは、ドイツを東西に分断していたベルリンの壁が1989年11月9日に崩壊した30年目の節目に合わせて行います。

 

飯沼は、ライプツィヒ/パリ/東京の三都市に活動拠点をおき、建築/写真/出版のメディウムを自身の身体を通し論理的に構築しながら、発表活動を行ってきました。本展は、東ドイツで日本人が建設を行った三都市にまたがる三軒のホテルを丹念にリサーチし、5つの章にまとめあげた渾身のプロジェクト〈Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家〉の出版記念展として、「第4章 二度消された記憶」に焦点を当てて開催いたします。

 

2014年当時、東京藝術大学大学院博士後期課程に身を置いていた飯沼は、ライプツィヒ、ドレスデン、ベルリンの各都市に鹿島建設が受注したホテルがあることを知ります。現地を訪れたり、関係者へのインタビューを実施しながら、様々な文献資料を調査していく過程で、建設事務所の空巣被害をつきとめました。この事件で盗まれたのは、「ドイツマルク現金」と35ミリフィルムカメラの中に入っていた「フィルム」で、カメラ本体はこじあけられた金庫内に残されていたといいます。

 

この奇妙な出来事に着想を得た飯沼は、自身も35ミリフィルムカメラのCONTAX T3を手にし、グランドホテル・ベルリン界隈を撮影しました。帰国後に東京の現像所にそのフィルムを持ち込み、翌日ピックアップに行くと、現像機の整備不良のためにフィルムがダメージを受け、イメージが白く消えてしまうという出来事に遭遇します。一見すると偶発的にもみえるこれらの出来事ですが、一度目は時代背景を省みるとシュタージ(秘密警察)のスパイによるものとも考えられ、二度目はいわば人災に起因しており、その記憶はまさに「消えた」と言うより「消され」てしまったのです。

 

1979年の東独の空巣事件、そして2016年の東京の現像所の事故。〈Japan in der DDR - 東ドイツにみつけた三軒の日本の家〉の第4章として、二度に渡って消されてしまった記憶の痕跡をたぐる本展を、是非ご高覧いただけますと幸いです。

アーティストステートメント

二度消された記憶

1979年1月12日、鹿島建設の建設事務所が空巣被害に遭ったことを知った。その被害はドイツマルク現金のみならず、島津さんの同僚である迫さんの35ミリフィルムが盗まれたという。ただしこじ開けられた金庫に、カメラ本体は残されていたというから奇妙だ。警察に届出をしたものの、盗難品が戻ってくることはなかった。

 

2016年5月30日、わたしはその盗まれた記憶を取り返してみようかと思い立ち、35ミリフィルムカメラCONTAX T3を持って、ベルリン・グランドホテル界隈を歩き、スナップ写真を撮った。撮影の手応えを憶えて、興奮のうちに東京へ帰り、早速現像所に撮影済みフィルムを持ち込んだ。

 

次の日ピックアップに行くと、わたしのフィルムは白く、ところどころに傷跡が見受けられた。現像機本体の小さなネジが外れており、現像機内が密閉されていなかったために、フィルムが感光してしまったと説明された。また外れたネジは機械内部に紛れ込み、フィルムを傷つけてしまったということだった。 

 

——飯沼珠実

アーティストプロフィール

飯沼珠実(いいぬま・たまみ)

1983年、東京生まれ。2018年、東京藝術大学大学院博士後期課程修了。現在、東京、ドイツ・ライプツィヒ、フランス・パリを拠点に活動。主な個展に『建築の瞬間/momentary architecture』(2018年、ポーラ美術館 アトリウム・ギャラリー、神奈川)、『建築の建築 House of Architecture』(2017年、六本木ヒルズクラブ、東京)、『三つ目の建築—書籍、住居そして森』(2016年、POST、東京)、『JAPAN IN DER DDR』(2016年、Motto Berlin、ドイツ・ベルリン)、『JAPAN IN DER DDR-Berlin, Mitte』(2015年、Studio Thibaut de Ruyter、ドイツ・ベルリン)、『FROM LE CORBUSIER TO MAEKAWA』(2015年、新宿ニコンサロン、大阪ニコンサロン)など。グループ展に『Von Ferne. Bilder zur DDR』(2019年、Museum Villa Stuck Munich、ドイツ・ミュンヘン)、『Requiem for a Failed State』(2018年、Halle 14、ドイツ・ライプツィヒ)、『Publishing as an Artistic Toolbox 1989-2017』(2017年、Kunsthalle Wien、オーストリア・ウィーン)、『3 days exhibition』(2017年、セゾンアートギャラリー、東京)など。作品集に『建築の建築 House of Architecture』(2016年、limArt刊)、『Landscape in Modern Architecture』(2013年、自費出版)、『Salute, Mr.Bruno Taut』(2014年、自費出版)などのほか、今年『JAPAN IN DER DDR』(自費出版)を刊行。

bottom of page